ダンサーとテクノロジーが変える、光の存在感 Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY『phosphere』感想と考察

ダンサーとテクノロジーが変える、光の存在感 Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY『phosphere』感想と考察

東京ドームに新しくオープンした、大人のための“遊べる”多目的ギャラリー・ギャラリー アーモ(Gallery AaMo)のこけら落とし公演に行ってきました。技術的に素晴らしいのはもちろん、ダンスの表現とテクノロジーが絶妙に組み合わさった公演で、ハッとさせられる演出でした。

※)技術、演出的な考察と、感想及びネタバレを含みます。

phosはギリシャ語の光、sphereは球体や空間・領域で、この二つの言葉を合わせた造語「phosphere」は光の作り出す空間、場所、圏をイメージしています。本作品は、多数のプロジェクターの光を特殊なソフトウェアを用いて複雑な空間を構築し、ダンサーやオブジェクトがその中に入っていく、「ダンス・インスタレーション」という新しいジャンルの作品です。ダンサーと光が緻密に連動することによって、立体的な形とその流れの軌跡をご覧いただけます。「phosphere」の中を流れる、規則と不規則の連続体。ダンサーと光が作り出す作品をお楽しみください。(公式サイトより https://rhizomatiks.com/s/event/dance-installation-at-gallery-aamo/)

水道橋駅からすぐ近く、東京ドームの横にある20m✖️40mぐらいの空間。10m四方のステージを三方囲む形で客席があり、元々オールスタンディングだったのが当日は前の方だけ座れるようになっており、下手側に座りました。天井にはステージを囲むように、無数の赤外線ライト、プロジェクターが約20台、舞台奥にも手前に向かってプロジェクターが8台ぐらいあります。

http://www.fashionsnap.com/news/2017-04-13/phosphere/

舞台セットは、リオ五輪閉会式でもあったようなダンサーが操る大小2種類の立方体のフレーム。それを一部覆う幕。(このあたりは動画が出てくるのを楽しみにしています)セット自体は光らず、それらにプロジェクターの光が演出を施します。

今回の演出、とにかく舞台上の動きに光が追従しまくります。

ダンサーが動かす衝立への映像投影、ダンサーの手の動きと光のシンクロ、フレームの角を光の紐で空中から吊るした様な演出。見事です。

 

http://www.fashionsnap.com/news/2017-04-13/phosphere/

 

 

技術面でなんとなく思ったことをいくつか

・モーションキャプチャ用の反射材がフレームの内側にあって、外からだと死角に入るタイミングも多そう。
→赤外線ライトがステージ真上はもちろん、結構離れた場所にもあったのはそのため?
・幕が張っているフレームには反射材付いていなかった様に見えた。
→四角い面自体を認識している?
・前半はフレームの認識、後半は身体の認識。衣装を黒から白に変化させているのは技術的理由もあるかも。

ここまで完成度が高くなってくると、あまり技術的に語れることは少なくなってきますが、
(検出精度の向上など、外からではわからない範囲になってくるため)
技術的にすごい!というだけで感想を終えるのは勿体無いです。

http://www.fashionsnap.com/news/2017-04-13/phosphere/

ダンスの演出はあまり分からないのですが、

今回の作品は、タイトルにもある様に「光」が主役です。40分の公演も、光の表現が徐々に変化しながら進んでいきます。

ここからは個人的な解釈ですが、今回の作品は光に命を宿すことをテーマにしているのではないかと感じました。

時系列を追っていくと、こんな感じです。(この辺りは観てないと分かりづらいです…)

・序盤、フレームの面に注がれる無数の光、波紋の様な映像は生命を生み出すプールのよう。
・中盤、舞台上を覆う布に注がれる光、中から霧が溢れ出し、平面への投影から光が空間全体へ。
・ダンサーが持ち上げるフレームに光が反応、このあたりから光の立体的な表現が増えます。
・ダンサーの心音のようなものに反応する光、これまではダンスの音楽に反応していたものが、身体へ。光に命が宿ったのは多分ここ。
・ダンサーの動きに合わせて、全く同じ形をした光がしばらく重なり続ける。
・次第に光はダンサーから離れ、独立して踊り始める。
・最後、ダンサーは再び箱に戻っていく、終演後、開演時と同じアナウンスが意図的に流される。
・客出しの時、中央の箱は開演前と同じだが、人の形をした光の模様がずっと動き続ける。

舞台の展開としては最初の状態にまた戻っていくのに、
光の存在感だけが全く違っている。不思議な感覚でした。

光の変化をテクノロジーで緻密に表現した素晴らしいステージでした。

以上、現場からでしたー!

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17/4/30 追記

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